ハリル監督も学んでほしい、「得点がどんどん入る」ナポリの組織戦術 (3ページ目)

  • 宮崎隆司●文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 それが実際にゴールにつながったのが、昨シーズンの第36節のトリノ戦で、4点目を取るまでのプロセスだ。

 トリノ陣内の深くでスローインを得ると、そこからナポリはDF陣を経由しながら、相手の守備網を迂回するようにパスを回し続ける。そして21本目、MFジョルジーニョからFWロレンツォ・インシーニェへ速いクサビが入り、そこから一気に攻めを加速させて24本目のパスを受けたFWホセ・カジェホンがゴールしている。

 緩急を織り交ぜたパスワークで相手を疲弊させ、相手の守備にわずかなスキが生じたところで狙い澄ました縦のパスを入れる。その縦パスが相手にカットされたとしても、相手陣内でギリギリまでコンパクトに保たれた布陣が、一瞬にして囲い込んでボールを奪う。その徹底した動きは相手にとって脅威であり、今季、ナポリと対戦したチームの監督たちは「(考える)時間と(プレーする)空間を奪われる」「打つ手がない」と口を揃えた。

 もちろん、このポゼッションに必要不可欠な「パスの精度」「パスを受ける側の動きの精度」を高めるためのトレーニングで、サッリ監督がさまざまな工夫を凝らしていることは言うまでもない。緩急を織り交ぜたパスワークや、コンパクトに保たれた布陣自体は目新しいものではないが、特筆すべきは、3人のFWが縦パスを受ける際のポジショニングにある。

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