ハリル監督も学んでほしい、「得点がどんどん入る」ナポリの組織戦術 (2ページ目)

  • 宮崎隆司●文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 例えば、(最終ラインからの組み立てにおいて)相手DF陣が前線へのロングボールを狙う場面では、センターラインから約20m後方の自陣内に最終ラインを置くチームが多い中、ナポリのDF4枚はセンターライン上に並ぶ。そのラインを超えた位置に相手FWがポジションを取れば、自ずとオフサイドになるため、相手DFはフィードを自陣内に蹴らなくてはならない。

 仮に、相手FWがラインを抜け、GKからセンターラインを超えるボールが送られた場合は、十分な奥行きを確保しているナポリ陣内の中でDF陣やGKが処理をする。相手FWがポストプレーに長けていてボールを収めることができたとしても、至近距離にいるナポリのMF陣とDF陣に挟み込まれて瞬く間にボールを奪われてしまう。

 こうしてボールを奪った後は、ナポリの長いポゼッションがスタートし、相手チームは前後左右にボールを追わされることで体力と集中力を同時に消耗していく。この、相手チームを翻弄するパスワークは、ナポリの攻撃面の特徴でもある。

 縦へ速い攻めを見慣れているサッカーファンにとって、ナポリの攻撃は時として緩慢に感じるかもしれない。ゆっくりとしたパスの交換が15本、20本、時には30本を超えて続く場合もある。しかし、それはチャンスを作るための重要な伏線なのだ。

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