新たなPK戦「ABBA(アバ)方式」で先攻有利は改善できるのか? (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 ポイントは、1本目を先攻に蹴り始めたチームでは3、5、7本目、1本目を後攻で蹴り始めたチームでは2、4、6本目。つまり、同一チームが2本連続で蹴る2本目のPKである。

 3試合でPK失敗は全部で10本あったが、そのうち5本がこの"2本連続の2本目"に該当するのだ。

 10本のうち5本なら、確率は50%。単純な数字だけなら、"2本連続の2本目"が特段失敗の確率が高いとは言えない。そこで、失敗の内容をもう少し細かく見てみたい。

"2本連続の2本目"で失敗した5回のPKのうち3回は、その直前のPK、"2本連続の1本目"で失敗が起きている。つまり、1本目に引っ張られる形で2本目の失敗が起きているのだ。

 不思議なことにPK戦では、失敗の連鎖が起きやすい。Aが外すと、直後にBも外す。科学的根拠には乏しいが、サッカーに詳しい人なら"あるある"のひとつだろう。

 この失敗の連鎖が、従来なら相手チームに起きていたわけだが、2本連続で同じチームが蹴る新方式の場合、自チームに連鎖する可能性があるということだ。1本目の失敗が2本目に連鎖したケースが3度あるのに対し、1本目を外したものの2本目は決めたケースになると、1度あるだけだ。

 さらに言えば、1本目を外したが、2本目は決めたケースが1度なのに対し、1本目を決めたが、2本目は外したケースは2度起きている。こうした現象が、"2本連続の2本目"に失敗が多くなる印象を強くしているのだ。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る