若手の「ドイツBチーム」でも強い、レーヴ監督の戦略的な代表づくり (4ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)/DFキミッヒ(バイエルン)、DFシュコドラン・ムスタフィ(アーセナル)、DFヨナス・ヘクター(1FCケルン)/MFエムレ・ジャン(リバプール)、MFレオン・ゴレツカ(シャルケ04)、MFドラクスラー(パリ・サンジェルマン)、MFユリアン・ブラント(レバークーゼン)、MFユネス(アヤックス)/FWラース・シュティンドル(ボルシアMG)、FWヴァーグナー(ホッフェンハイム)。

 なんと11人の先発メンバーが全員、異なる所属チームだったのだ。UEFAのダイジェストビデオでは、コメンテーターが「これは1960年以来の出来事です!」と叫んでいた。

 このように6月からの「ドイツB代表プロジェクト」で、レーヴ監督はメンバー構成でも、フォーメーションでも、さまざまなトライを行なってチームに刺激を与えている。しかし、彼らの攻撃パターンを見ると、今のドイツは決して即席チームではない。3バックシステムを採用するという方針には、「ウイングバックを置きたい」という明確な意図が見て取れる。

 サイドアタックが代名詞のアヤックスですら、今や安易にサイドへパスを出すことはなく、攻撃の優先順位はあくまで「縦」である。なかでもキラーパスの出しどころは、ペナルティエリア内の左右のスペースだ。その攻略法はチームによって違うが、6月のドイツ代表はウイングバックがインナーラップからペナルティエリアの左右に走り込んだり、逆にウイングバックが左右に開いて味方に中のデンジャラズゾーンへ走り込むことを促したりしている。

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