日本のW杯予選に危険信号。
コンフェデのオーストラリアが驚きの強さ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 フース・ヒディンクが監督を務めた2006年当時は、パスワークに優れたデンマーク的な匂いもしたが、基本的にはスクエアな4-4-2からブロックを作って手堅く攻める。大崩れしない安定感と、その高身長からくり出される空中戦こそ、日本の苦手とするスタイルだった。オーストラリアに過去、W杯予選で1度も勝てていない理由でもある。

 1-1で引き分けた昨年10月のアウェー戦は、いま振り返れば、ジャブの応酬に終始したように思う。オーストラリアはホーム戦にもかかわらず、決して前に出てこなかった。布陣も中盤ダイヤモンド型4-4-2。4分割にすれば4-3-1-2的な、守備的なスタイルだった。

 日本の布陣は4-2-3-1。両サイドにおける人数の関係は2対1で、日本が数的に上回っていた。サイド攻撃を仕掛けやすい分、日本の方が攻撃的、オーストラリアの方が守備的だった。にもかかわらず内容はほぼイーブン。日本は長所を活かせなかった。

 オーストラリアのアンジェ・ポステコグルー監督が今回採用した布陣は3-4-3。プレスを高い位置からかけてきたという意味においては攻撃的だったが、布陣的には微妙だった。3人のFWが開いて構えれば、文字通り3-4-3だが、内に絞れば3-4-2-1。両サイドは各1人になる。初戦で戦ったドイツには、両サイドが陥った数的不利を突かれ、サイド攻撃を浴びた。狙われたと言ってもいい。

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