ブンデスに見る現代サッカーの病巣。「痛み止め」の常用が選手を蝕む (2ページ目)

  • 鈴木智貴●文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by Getty Images

 17位と18位には、今季のドイツサッカーの締めくくりとなるドイツ杯決勝に進出した、ドルトムントとフランクフルトが名を連ねている。しかし両者の差は大きく、フランクフルトはドルトムントに比べ、ひとりあたり10日以上も長く離脱していた計算になる。

 かかとの炎症で66日間を欠場したアレクサンダー・マイヤー、アキレス腱炎で70日間不在だったオマール・マスカレル、アキレス腱とふくらはぎ、そして太ももを負傷して計2カ月半を棒に振ったヘスス・バジェホらは、まだ少ないほうだ。

 右ひざにメスを入れた長谷部誠は計113日、腰の手術をしたヤンニ・レゲゼルは165日間、足首負傷のギュレルモ・バレラが207日間、前十字靱帯断裂と半月板手術の災難に見舞われたマルク・シュテンデラは314日間の離脱となり、昨年の5月に悪性腫瘍を摘出したマルコ・ルスは第23節で初のメンバー入り。ここで名前を挙げた選手の離脱期間を合算すると、約3年分の日数に匹敵する。

 一時はチャンピオンズリーグ(CL)本戦出場権を得られる3位に浮上し、前半戦を6位で終えたフランクフルトだが、第20節以降の15試合で白星を獲得したのは、第30節アウクスブルク戦のみだった。後半戦の大失速と負傷者の多さは、決して無関係ではないだろう。

 先述の順位表で見事首位に輝いたインゴルシュタットのチームドクター、フローリアン・プファブ教授は、ビルト紙にこう話している。

「体の中で弱い部分を見つけること、トレーニングの負荷を調節すること、予防のための処置をすること、選手にその意識を持たせること、そしてもちろん、栄養に気をつけることなど、我々は数年前からこれらケガの予防にかなり力を入れてきた」

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