またもユベントスのCL制覇叶わず。
ブッフォンの夢はディバラに託す

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • 藤田真郷●撮影photo by Fujita Masato

「前半、我々は見事なパフォーマンスを見せ、レアルの手を焼かせた」とブッフォンは試合後に話した。

「後半にあんな風になってしまった理由は、僕には説明できない。ただ、このような極めて重要な試合を勝つには、いかなる困難にも立ち向かう強さが必要なのだろう」

 確かに、序盤から主導権を握ったのは彼らだった。その流れに逆行して先制されたとはいえ、マリオ・マンジュキッチの壮観な同点ゴールにより、イーブンでハーフタイムを迎えた。後半のピッチに先に出てきたのもユベントス。試合開始前から明らかに逆サイドより熱量で勝るサポーターの後押しを受けて、21年ぶりの悲願──前日会見でダニエウ・アウベスとブッフォンは夢と表現した──を彼らと共に叶えようと決意していたはずだ。

 ところがその想いとは裏腹に、時間の経過と共に相手との地力の差がピッチ上に表れていく。カゼミーロのゴールはディフレクションして左下のコーナーに飛び、ブッフォンに防ぐチャンスはなかった。しかし、その3分後には右サイドを完全に崩され、不運とは言えないゴールでさらにリードを広げられてしまう。

 今季のCLでは3失点しかせず、鉄壁に見えたベテランたちの要塞が音を立てて崩れていく様には、レアルの破壊力と頂上決戦の不条理を感じずにはいられなかった。試合後の会見でマッシミリアーノ・アッレグリ監督は否定したが、その展開は2年前のバルセロナとの決勝を思い起こさせるものだった。

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