大迫勇也、今季の活躍を振り返る。「ケガがなければもっと得点できた」 (3ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 ケルンは一時期、ケガ人が続出し、中盤が完全に人手不足になった。シュテーガー監督は大迫がFW起用を望んでいることを知っていたが、チーム事情を考えると、幅広い役割を担える大迫をトップ下で起用せざるを得なかった。

 時にはボランチとしてプレーすることもあった。2月に行なわれたドイツ杯3回戦ハンブルガーSV戦のことだ。大迫はFWとして先発したものの、ボランチの選手が負傷。ベンチにはボランチを本職とする選手がいたが、シュテーガー監督はそのキープ力と展開力を買って、スクランブルで大迫をボランチに回した。「ケガ人が多かったから仕方ない」と大迫は繰り返したが、シュテーガー監督が大迫をチームにとって欠かせない存在と見なしている何よりの証拠だった。

 チームメイトも大迫の実力を完全に認めていた。そのハンブルガー戦では、大迫のパスに味方の選手が反応できないシーンが何度も見られた。そのたびに大迫は苛立ちを隠さない大きなジェスチャーで味方を叱咤していた。

 決して口数の多くない大迫だが、プレーに関してチームメイトに要求をすることはこれまでに何度もあった。だが、あれほど感情を爆発させてチームメイトに要求を突きつけるシーンは見たことがなかった。

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