代表に「這い上がってやる」。マインツ武藤嘉紀が泥臭いキャラになった (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 一方、日本代表のW杯予選では選考に漏れた。

「こういう経験って少ないんです。自分としては初めてかな、プロになって。今まで落ちたことがないので、こういう体験というのは選手として絶対いい体験なので、踏ん張って誰より努力していければいいと思う」

「落ちたことがない」というのは、ここまで常に右肩上がりできたという意味だろう。それぐらい、プロ入り以来、順調に成長してきたのだ。

「悔しさはあります、代表までに結果を出せなかった自分の不甲斐なさに。これだけ悔しい経験はない。ケガ以外で外れることがなかったので。自分の実力不足だし、アピール不足だとわかった。ここから這い上がってやろうと、本当に貪欲にやっていきたい」

 武藤の話しぶりは変わった。マインツに入団したての頃だったら、決してこんな風には話していなかっただろうと思う。「這い上がってやろう」などという泥臭い言葉遣いをするタイプではなかった。どちらかといえば短くまとまった言葉で感情を隠そうとする、記者にとっては難しい取材相手だったように思う。

 ケガで苦労したからか、それともブンデスでの経験のおかげか。最近の心境がうかがえるコメントや豊かな表情は、率直に言って人間的魅力に溢れている。今季の残りは2試合。パフォーマンスとともに、武藤がどんな言葉を残すかも興味深い。

■海外サッカー 記事一覧>>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る