VVVフェンロを2部優勝させて、コーチ藤田俊哉がしみじみ思うこと (3ページ目)

  • 小須田泰二●取材・文 text by Kosuda Taiji
  • photo by VI Images/AFLO

「勝って喜ぶのは1日だけで終わり。そこからは気持ちを新たに次のステップへと踏み出す、というのが自分の変わらないスタイルでもあるから。2日、3日続く優勝パーティーも、自分としては1日で十分かなと思ってしまう。それは自分の性格だからしょうがないよね」

 とはいえ、藤田にとってVVVというクラブは特別な場所だ。そして、フェンロという街もまた特別な場所である。

「世界を見渡したら、今回のタイトルは、スケールの小さなものなのかもしれない。でも、ここ(フェンロ)では間違いなくサッカーが文化として定着しているなってすごく感じる。パレードやセレモニーを見たら一目瞭然だよね。スタッフも選手もファンも、みんなが同じ目線で喜んでいるんだから。いい意味で、みんなが選手やスタッフのことを特別扱いしていない。いつでもフレンドリーに話しかけてくるし、誰とでも肩を組んでビールを飲み交わしている光景を見ると、フェンロという街全体がひとつのファミリーのように思える」

 今回のセレモニーにおいて忘れられないシーンがあるという。

「セレモニーの最後に、みんなで合唱したとき、いろんなことを思い出して、感極まって自然と涙が出てしまった。そのところを編集した動画を改めて観たら、選手から裏方のスタッフまで、VVVに関わるあらゆる人たちが映っていた。全員がお世話になった人ばかり。僕にとっての宝物だよ。この動画は永久保存版。この先なにか起きたとき、これを見たら元気になれる。だって、この瞬間を迎えるために、長い時間を費やしてきたんだからね」

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