CLでアトレティコにレアルの壁。反逆者シメオネ、4度目の正直なるか (4ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 一方で、アトレティコ側に明らかな不安箇所もある。シメ・ブルサリコとフアンフランが相次いで負傷離脱し、代役不在の右サイドバックは22歳のCBホセ・ヒメネスでしのいでいる状況だ。また、4月25日のリーガ34節ビジャレアル戦で背番号10を背負うMFヤニック・カラスコが鎖骨を痛め、レアルとの第1戦には間に合わない見込みとなった。

 対戦相手もペペとラファエル・バランの2人のCBを負傷で欠くものの、ナチョ・フェルナンデスが見事に穴を埋めている。会長のお気に入りであるギャレス・ベイルの離脱は、逆にジダンに選択の自由が与えられたと捉えることも可能だ。

 このように状況的にはシメオネに厳しい要素が多い。しかし手負いの戦いでこそ燃えるのが、革命家なのかもしれない。ゲバラが多くの仲間を失いながらも山中に潜んで勝機を探ったように、シメオネも持ちうる駒を最大限に生かす方法について熟考を重ねているはずだ。巨大な敵に何度跳ね返されても屈せずに立ち向かう黒づくめの熱い男が、凱歌を奏でる姿をそろそろ見たい。

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