喜び爆発、エイバル乾貴士の今季初ゴールと「帰国騒動」の真相 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

「お前は普通のゴールは決められないよ。ファインゴールか外に外れるかのどっちかだ」

 肩の力を抜かせるためか、ただの"いじり"なのかはわからないが、そんなMFカパの言葉通り、乾の初ゴールはファインゴールで生まれた。77分、前線からのプレスで相手のパスミスを誘発し、ボールを奪う。エリア内に侵入し右足を振り抜くと、その弾道はしっかりと枠を捉え、逆サイドネットに突き刺さった。

 その瞬間、エイバルの選手やベンチのメンディリバル監督、スタッフは笑顔に包まれ、ガッツポーズをする者もいれば、飛びつき抱き合う者もいた。誰もが乾のゴールを喜んでいた。

 彼らの笑顔を引き出したのは乾の人柄にもある。試合終了後、定位置を争うライバルのベベが乾のもとへ近づき抱擁をかわしたことや、裏方である広報スタッフとも抱き合って喜びを分かち合っていたことは、乾がいかにチームを愛し、愛されているかを証明している。

「自分が決めたことより、みんなが喜んでくれている方が嬉しかった。あんなに喜んでくれるんだ、と。監督には本当に感謝しないといけないですし、チームメートにも。20試合くらい出ていて、1点も取ってない中で、ずっと使い続けてくれた監督には本当に感謝ですし、チームメートも自分を信頼してくれて常に声をかけ続けてくれたことは、すごく自分の支えにもなった。それがなかったら今日のゴールはなかったと思うので、嬉しいです」

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