「夢はセレソン」。愛人殺害服役のGKが現役復帰でブラジルは大騒ぎ (3ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 ブルーノは再びサッカー選手としてプレーすることを望んだ。国内外の8クラブからオファーを受けると、3月10日、2部のボア・エスポルチと2年契約を結ぶ。入団会見で、「自分を信じて獲得してくれたクラブに感謝している。練習を積んで、1日でも早くピッチに立ちたい。いつかブラジル代表でプレーするのが夢」と語った。

 ところが、彼を獲得したクラブに対して賛否両論が巻き起こった。スポンサー企業は「会社のイメージが悪くなる」として会長に契約撤回を迫り、会長が「合法的に獲得しており、神の掟にも反していない。彼の社会復帰を手助けしたい」として拒否すると、3つの会社がスポンサー契約を解除した。また、市民団体は「女性を殺した悪魔を入団させるな」といったプラカードを掲げて抗議活動を行なった。

 一方、サポーターの多くは戦力として期待しており、入団を歓迎している。法律に則って仮釈放された以上、彼には仕事をする権利があるのは確かで、最も得意とする分野で社会復帰を果たす道を開くこと自体は間違っていないとも言える。

 7年ものブランクがあるが、身体に異常はない。クラブと本人は、2カ月以内のデビューを目指している。ブルーノが非常に高い能力を備えた選手だったのは間違いない。本人の意欲と体調次第だが、再び国内トップクラスのGKとしてプレーすることは十分にあり得る。今後、彼が再デビューを果たし、レギュラーとして活躍するようなら、国内外でさらに大きな反響を呼ぶはずだ。

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