マルセイユで不動のレギュラー。酒井宏樹は「ハリル戦術がよくわかる」 (2ページ目)

  • 小川由紀子●文・写真 text & photo by Ogawa Yukiko

「ハリル監督にすごく言われるんですよ、ボールが来る前にもっともっと(相手に)寄せろって。寄せて裏を取られた方が怖い、と前は思っていたんですが、フランスリーグでは1対1の方がよっぽど怖い。フランスのリーグの選手たちは、あまり裏に抜ける、という動き方をしてこないんです。ボールを持ってから仕掛けたい、という人たちが多いので。なので、ここ(フランス)に来てみると、いろいろとハリル監督の言っている戦術がわかってきましたね。やっぱりフランス流の監督なんだな、と」

 動き方ひとつひとつについて指示の細かいマルセイユのルディ・ガルシア監督のもとで日々研鑽していることも、ハリル監督の戦術を理解するのに役立っているという。

「ガルシア監督はめちゃくちゃ厳しくて、ポジショニングひとつに対してもハリル監督以上だと思います。ふたりが似ているところは守備でボールを持っていないときのポジショニングについて。僕の場合、疲れていても攻撃のときは前に出ていけるけど、守備のときは戻れないことがあるので、ガルシア監督にはそういうところを厳しく言われます。そこは集中力の問題だから、『ボールを見るんじゃなくて、全体を見ろ』とか、『観客が見ているような感覚で自分を見ろ』と」

 開幕間もない頃は危ないシーンもあった。第2節のギャンガン戦では対峙した相手ウィンガーを止めきれず、ラストパスを許してしまったことで相手の先制点を招いた。しかし、その後、酒井はフランスの攻撃選手の特徴や仲間のカバーリングの仕方などを考えながら、これまでのやり方に固執せず、柔軟に守り方や動きを変えていった。

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