主将・酒井高徳も驚く、ハンブルガーの
日系FWボビー・ウッドとは?

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by Getty Images

 しかし、チームメートであり友人だったコヴァが1年半でカリフォルニアへ帰ってしまった一方、ウッドの契約は毎年更新された。1860ミュンヘン下部組織では、現在レバークーゼンに所属するMFケヴィン・フォラントや、宇佐美貴史がいるアウクスブルクに所属するMFモーリッツ・ライトナーともプレーした。2010年夏にトップチーム昇格を果たしたふたりから遅れること半年、ウッドもライナー・マウラー監督からついにお呼びがかかった。

 プロとなって以降、1860ミュンヘン、半年間レンタル修行に出たエルツゲビルゲ・アウエでは目立った活躍はできなかったものの、2015年7月、同じ2部に属するウニオン・ベルリンへ移籍すると才能が一気に開花し、昨シーズンは31試合出場17ゴール3アシストという堂々の成績を残した。たった1年で、HSVが4年契約、移籍金350万ユーロ(約4億2000万円)で買い取るほどの選手となったのだ。

 HSVで主将を務める酒井は、ウッドの成長ぶりを嬉しく思う反面、不安もあるようだ。

「(成長速度が)激しいというか、ヤバいですよね。一番不安なのは、あいつがちゃんとチームに残ってくれるかというとこですね。それが心配で......(笑)。それほどに素晴らしいし、たくまし過ぎますね」

 そう聞くと、ぜひとも日本代表に......と思うファンもいるだろうが、残念ながらウッドはすでにアメリカ代表としてプレー経験があるため、それは叶わぬ夢だ。代表FWの中軸として彼が掲げている当面の目標は、2018年のロシアW杯の本戦出場。彼の名が世界に知れ渡る日は、そう遠くはないかもしれない。

■海外サッカー 記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る