ベンゲル政権「終わりの始まり」。変われないアーセナルがCLで惨敗 (4ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 だが、いつしか時代の流れに取り残されてしまった印象はどうしても拭えない。戦術面における幅のなさに加え、金満体質と揶揄されるプレミアリーグでは、特に経営面での賢明さがかえってディスアドバンテージにつながっている点は否定できないだろう。ベンゲルの慧眼(けいがん)を駆使して無名の若手を獲得し、一流選手に育てる強化術も、気がつけばライバルクラブに模倣されて目新しさがなくなってしまった。

 もっとも、ベンゲルの手腕を否定するつもりは毛頭ない。1996年のアーセナル監督就任時に科学的トレーニングや食事療法を持ち込み、「ポゼッション重視の魅力的なサッカー」や「育成重視の強化術」を実践ながら、輝かしい成績を残した。2003-2004シーズンには無敗優勝へ導くなど、プレミアリーグきっての名将であるのは紛れもない事実だ。

 しかし、21年におよぶ長期政権で停滞感が漂い、ついに識者の間でも「限界説」が囁かれ始めた。クラブOBのイアン・ライトは「3月までの結果次第だろうが、今季がアーセン(・ベンゲル)のラストシーズンになるかも」と語れば、元イングランド代表DFのリオ・ファーディナンドも「物事が正しい方向へ進んでいないように思うが、ベンゲルはその答えを見つけ出せていない」と主張。元イングランド代表MFのジャーメイン・ジェナスは「アーセナルにとって重要な分岐点。新しく何かを始める必要がある」と提言する。

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