原口元気も流浪の民に?くすぶり続けるヘルタのベルリン移転問題 (3ページ目)

  • 鈴木智貴●文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by Getty Images

 では、なぜこれらの場所が候補に挙がったのだろうか。

 ビルト紙によれば、まずその3ヵ所は行政区こそ隣の州であるものの、ベルリン市と隣接する、いわば同市の郊外であるため、距離はさほど離れていない。また、アウトバーン(高速道路)に近く、ベルリンから電車で行くことも可能で、交通の便はまずまず。さらには、ベルリン市の政界が移転を断固拒否した一方、ブランデンブルク州議会は非公式ながら、受け入れに大きな関心を寄せていた。

 ところが昨年12月に入ると突然、ブランデンブルク州の州都であり、ベルリン市に隣接するポツダム市でトップの座に就くヤン・ヤコブス市長が、同州内でのスタジアム建設に難色を示しだした。

 ポツダマー・ノイエステ・ナハリヒテン紙によれば、交通の混雑といった理由ではなく、「ヘルタのファン全員が友好的なわけではない、という不安はある。もしこの件について熟考しないのであれば、私は市長失格だ」と語ったように、治安悪化が最大の懸念のようだ。さらに土地についても、「ポツダム市周辺にはスタジアム建設に適した場所はないと思う。個人の所有地だったら話は別だが・・・・・・」と、口をついて出るのは後ろ向きの発言ばかりだった。

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