長谷部誠、奥寺氏に並ぶブンデス234試合。
「世渡り上手だったかな」

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 しかも最多出場という記録を打ち立てることは、長谷部にとって必ずしもポジティブな意味合いを持つだけではなかったようだ。

「ドイツでこれだけ出場数を積み重ねるというのは全然想像してなかったですし、一つのリーグでこれだけの試合に出られるというのは、いいことかもしれないですけど、逆の考え方として、僕の場合は他のリーグにチャレンジしたいというときもあったので、そういう意味で言えばいろんな思いはあります」と、複雑な思いを吐露した。

 とはいえ、彼が3つのクラブ、10人の監督のもとで、コンスタントにプレーしてきたことの偉大さは変わらない。その要因を問われた長谷部は、ユーモアを混ぜてこう答えた。

「僕は点を決めたり、試合を決められる選手ではないので、とにかく監督が要求することをしっかりと理解して、チームがよりいい流れにいけるようにということを常に頭を使いながら、考えながらプレーしてきた。チームの穴を埋めるじゃないですけど、そういう部分でやっていたので。そういう意味で言えば、世渡り上手だったのかなと思いますけどね」

「世渡り上手」という言葉はもちろん長谷部特有の謙遜だ。ただ、それは本質を突いた言葉でもある。

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