ELで惜敗の瀬戸貴幸。月収2万円を経て、ルーマニアから日本代表への挑戦 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Reuters/AFLO

 この7クラブうち、決勝トーナメントに進出したのはシャルケとアストラのみ。そして16強に残ったのはシャルケだけとなった。

 つまり、日本代表の中心選手がプレーするのがELの舞台であり、その決勝トーナメントは望んでもなかなか得られないチャンスなのである。チャンピオンズリーグ(CL)には華やかさもサッカーのレベルも及ばないが、欧州の大半のクラブにとっては大きな意味を持つ価値ある大会なのは間違いない。

 ゲンク戦後、瀬戸は深夜にもかかわらず取材に応じてくれた。その様子はルーマニアというあまり情報のない土地で孤軍奮闘してきた男というイメージとは程遠かった。

 プレーを見る限りでの"こわもて"で豪快な印象も覆された。180センチを超える長身ながら、少々猫背で物静か。多弁ではないが、ゆっくりと丁寧に、試合について、そして自身について話してくれた。

 今大会は瀬戸にとって、2014~15シーズンに続き、2度目のEL本戦出場だった。10代のときはまったくの無名選手。Jリーグを経験せず、ブラジル武者修行などを経て、2007年、アストラの前身であるプロイェシュティに入団。欧州でのキャリアをスタートさせた。クラブは当時3部で、月収は2万円だった。

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