元主将マラドーナも参戦。くせ者ナポリがCLで王者レアルを脅かす (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 今オフには、絶対的なエースだったゴンサロ・イグアインをユベントスに引き抜かれ、さらにはその代役として序盤戦に見事な働きを見せていたアルカディウシュ・ミリクが、昨年10月に重傷で長期離脱する不運に見舞われた。それでも、緻密な戦術と柔軟な対応でチーム力の低下を阻止。国内リーグで3位を維持し、コッパ・イタリアで準決勝進出を決め、CLではベンフィカやディナモ・キエフといった難敵を抑えてグループリーグを1位通過している。レアルの無敗記録は止まったが、こちらは先週末のジェノア戦にもきっちり勝って、ここ18試合で負けがない。

 そんなイタリア南部の水色のチームを前線からけん引するのが、ベルギー代表ドリース・メルテンスだ。この29歳の小兵アタッカーは、昨季までウイングの2番手に過ぎなかったが、ミリクの負傷とマノロ・ガッビアディーニ(冬にサウサンプトンへ移籍)の不振を受けてセンターフォワードに抜擢された。徐々にその役割に慣れていくと、昨年12月からのリーグ戦9試合で13得点と大爆発。身長169cmの本職ではないファーストストライカーが、セリエAの得点ランキングで首位に2点差の16ゴールをマークしているのだ。

 先の冬の移籍期間中には、中国のクラブから「孫の代までリッチになれる」ほどの巨額オファーを受けたものの、「首を横に振るのは難しかったが、妻といい面と悪い面を洗い出して、拒否することを決めた」。本人だけでなく、仲間や監督、ファンもその選択を大いに喜んでいるはずだ。

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