清武弘嗣を「失敗」扱いは気の毒。スペインでの成功に何が足りないのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 では、目利きモンチはなにを見誤ったのか?

 セビージャ清武のスタートはこれ以上ないものだった。UEFAスーパーカップのレアル・マドリード戦で、いきなり120分間の激闘を戦い抜いている。そしてリーガ開幕戦でも先発をつかみ取り、1得点1アシストの鮮烈デビューを飾った。さらに2節のビジャレアル戦も先発出場した。

 雲行きが怪しくなるのはそこからだ。

 同じタイプだが、実績で上回るフランス代表MFサミル・ナスリが開幕直後に入団。清武の立場がこれで揺らいでしまう。3節はナスリが先発、4節は清武が先発を取り戻したものの、これ以降、清武は出場機会が激減。その裏には9月、10月の代表招集も関係している。

「日本から戻った清武には疲労の色が見える」と、招集メンバーからもしばしば外れることになった。

「賢く、(技術的に戦術的にも)クリーンな選手」

 首脳陣は清武に一定の評価を与えていたが、チーム内の序列は日を追うごとに落ちた。3~4人の攻撃的MFの枠で、清武は8、9番手になってしまう。

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