シャペコエンセが事故から初の公式戦。2チーム体制で7つの大会に挑む (4ページ目)

  • 沢田啓明●文 text&photo by Sawada Hiroaki

 平日の夜の試合とあって、観衆は7000人余りだったが、後半は全員が立ちっぱなしで熱い声援を送っていた。

 事故で死亡したサンドロ・パラオーロ前会長の口癖は、「いつか南米クラブ王者になってやる」だった。野心的、と言うより無謀としか思えない目標だが、昨年、並みいる強豪をなぎ倒してコパ・スダメリカーナ(欧州でいえばヨーロッパリーグに相当する)の決勝まで勝ち進んだことを考えると、可能性はゼロとは言い切れまい。

 この短期間で、事故で消滅したクラブとチームを再建し、犠牲者の遺族への財政的、心理的なケアも継続しながら、7つもの公式大会に挑む。小さな町の、小さいけれどこの上なく勇敢で誇り高いクラブの、「奇跡」への新たな挑戦が始まった。


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