吉田麻也、聖地ウェンブリーへ。鉄壁の守りで38年ぶりの決勝に導く (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 ただ忘れてならないのは、今季のサウサンプトンが深刻な得点力不足に悩まされていること。1点を与えるか、あるいは守りきるか――。その差は極めて大きく、吉田も「勝因? 点を獲られなかったことだと思います」と話していた。たしかに先制点を与えていれば、ホームサポーターの大声援を受けたリバプールが、一気に畳みかけていてもおかしくなかった。

 そのせいか、試合後の吉田からは、集中力を極限まで研ぎ澄まして守備に走ったことでの疲労感が伝わってきた。そして、もちろん、やり切ったことへの充実感もあった。取材エリアに姿を見せると、「うれしいですけど、しんどかったですね」とひと言。さらに、次のように言葉をつないだ。

「守備の時間が長かった。早く1点を入れてくれれば、もっと楽になったんですけど、ファン・ダイクがいないなかで、よく耐えたなと思う。もしかしたら見ている人には、つまらない試合だったかもしれないですけど、僕たち的にはいっぱい、いっぱいだった。(リバプールは)非常に強いチームで、(アンフィールドは)非常に難しいスタジアムだった。

 最後の最後で、スティーブンスとかが身体を投げ出して、いい形でシュートを打たせなかった。そういう小さながんばりが大きな結果を生んだ。やっぱり、(リバプールの)コウチーニョやフィルミーノ、アダム(・ララナ)とかはいい選手なので、ほんと90分、よく抑えられたなと。ビルドアップはほとんどできなかったですけど、守備の面では評価できるんじゃないかなと思います」

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