よみがえったモウリーニョの神通力。
マンUの連勝はどこまで続くか

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 53歳のポルトガル人指揮官は昨年の秋頃まで、チームの最適な形を見出せていなかった。基本給1000万ポンド(契約当時のレートで約16億円)と言われる年俸に加え、ポール・ポグバやズラタン・イブラヒモビッチ、ヘンリク・ムヒタリアンといった豪華な新戦力を与えられながら、結果を残せずにいた新監督には批判が集中。中でも、クラブOBのポール・スコールズは、「今のチームにはアイデンティティーがない」「選手の起用法が間違っている」「このチームでは優勝できない」など、厳しい批判を繰り返した。

 10月23日の敵地でのチェルシー戦で0-4の屈辱的な大敗を喫した際には、試合後にモウリーニョ監督は敵将のアントニオ・コンテに「大量リードしているときに、サポーターを煽るのはいかがなものか」といった意味の耳打ちをしたという。確かにそれはそうかもしれない。だがその姿は、悔しさに我を忘れた「ルーザー」にしか見えなかった。

 これまでに指揮を執ったほとんどのクラブでメジャータイトルを手にしてきたモウリーニョから、マジックが消えた──。そんな声がいたるところから聞こえてきたのも、この頃だった。

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