エイバル乾貴士、敵将シメオネもたまげた「漫画のような3人抜き」 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 乾がボールを持てば何かが起きる。

 そんなエイバルサポーターの期待で小さなスタジアムのイプルアは包まれ、背番号8番にボールがわたるとスタンドからはどよめきが生まれた。29分、ヴルサリコとの1対1の場面。乾はキレのあるボールタッチで中へとボールを運ぶ。日本人の動きについていくことができず、後手に回ったクロアチア代表DFに残された術はファールで止めるしかなく、その代償としてイエローカードを受けた。

 警戒しても止めることが簡単ではない乾のプレー。圧巻は36分、左サイドでボールを受けた乾が鋭い切り返しでヴルサリコとスペイン代表MFサウールに無様なダンスを強要するプレーだった。それだけでなく、続くカバーに入ったガビの股の間に鮮やかにボールを通してみせた。クロスこそ味方につなげることはできなかったが、圧巻の3人抜きを見せた乾に、スタンドは大きな歓声を送り、気温5度の真冬の寒さを一瞬忘れていた。

「部分部分でいいプレーができたのはよかったのかもしれないけど、それを結果につなげたい。守備が堅いアトレティコ相手にドリブルでかわしたりすることができたのはもちろん自信になる。ただ、もっとバリエーションを増やさないといけないし、ゴールにつながるプレーをしないといけない」

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