バルサと楽天の契約は、久保建英が復帰する追い風になるのか? (4ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Photogamma/AFLO

 プロとアマチュアの壁ほど高いものはないというけれど、その意味では彼はその壁をすでに越えたも同然といえる。「そのうち、見えてくるだろう」と言うクラブ関係者にしても、時期がくれば、当然、久保がバルセロナに戻ってくると思っているようだ。バルセロナの環境が、彼の選手としての成長のために最適だとわかっているからだ。

 だがそれは、あくまでも今のようにコンスタントに結果を出し続けていけば、という前提があってのこと。どんなに才能があっても、伸びしろのない選手に投資はしない。これが、「マシア」(バルセロナのユース組織、選手寮及び育成システム)の鉄則であり、より才能のある外部の選手を入れるために、毎年誰かが振り落とされていく。そして、そんな厳しい環境で、同世代の久保の元チームメイトたちは、今も切磋琢磨しながら実力を磨き続けている。

 ハリルホジッチ日本代表監督が、久保について「まだ15歳。あまりしゃべらない方がいい」とコメントしていた。成長期の今、そうやって周囲を牽制しながら見守ってくれる代表監督がいることは幸せなことだろう。今の彼の最大の課題は、おそらくまだまだ華奢なフィジカルだろうし、この課題をクリアできたかどうかは、時間が経ってから答えが見えてくる。

 いずれにしても、久保はまだまだ成長していくことだろう。羽ばたいていく空は、無限に広がっている。その行き先が遠いほど、それに準じた体力と持久力が必要になる。自分で飛んでいける羽を持っているのだから、その礎を作っている段階で、周囲がプライベートジェットを用意するような愚行がないことをひたすら願っている。

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