シャペコエンセ再建へ。悲劇の王者を超ハードスケジュールが待ち受ける (3ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Reuters/AFLO

 地元財界における顔をフルに利用してスポンサーを集め、ソシオを増やして財政基盤を固める一方で、下部組織に投資して選手育成に力を注ぎ、堅実経営に徹しながらもチーム強化に邁進。2009年から2013年までの5年間に4部から1部へ到達するという"世界サッカー界の奇跡"を成し遂げた立役者だった。

 クラブの役員では、体調を崩してコロンビア遠征に同行しなかったイヴァン・トッゾ副会長が唯ひとり生き残り(現在は会長代行)、強化部門のスタッフを選任してクラブ再建を目指す。

 事故の直後、国内の複数の有力クラブが「今後3年間、シャペコエンセには成績と関係なく1部に残留できる特別措置を適用すべきだ」という考えで一致し、その要望をブラジルサッカー連盟へ伝えた。これに対し、トッゾ会長代行は「好意はありがたいが、受け入れかねる。我々は、特別扱いは望まない」と拒んだ。

 このスポーツマンシップにあふれた態度は国内外で賞賛されたが、実際のところ、シャペコエンセには茨の道が待ち受けている。

 その理由のひとつは、今年のコパ・スダメリカーナの優勝チームに認定されたことで、来年、参加する大会が大幅に増えたから。1月下旬以降、国内リーグ戦2つ、国内カップ戦1つ、南米カップ戦2つに参戦する。

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