シャペコエンセ再建へ。悲劇の王者を超ハードスケジュールが待ち受ける (2ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Reuters/AFLO

 この3人を除くと選手はわずか9人で、うち8人は契約が今年末で満了する。つまり、現時点でチームはないに等しい。しかも、クラブの予算規模は国内ビッグクラブの数分の1でしかない。

 強化部長は、「U-20から10人程度を引き上げ、20人余りを外部から補強する予定。これまでと同様、高給でスター選手を連れてくるようなことはしない。安価だが実力があり、しかもチームのために心血を注いでくれる選手だけを獲りたい」と語る。

 国内外の多くのクラブが無償で選手を貸し出すことを申し出ているが、チームの必要性と合致するかどうかを見極めて受け入れるかどうかを決めるという。また、元ブラジル代表FWロナウジーニョ、元アルゼンチン代表MFファン・ロマン・リケルメ、元アイスランド代表FWエイドゥル・グジョンセンらが協力を申し出ているが、これら元スター選手を獲得するのはクラブの方針にそぐわないと考えているようだ。

 チームが消滅したこと以上に深刻と思われるのが、サンドロ・パラオーロ会長とこれまで彼を支えてきた役員が揃って死亡したことだ。パラオーロ氏は敏腕実業家で、「南米クラブ王者を目指す」という無謀としか思えない目標を掲げて2008年、会長に就任した。

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