リーガ3強時代は終わるのか。
シメオネと共に熱を失ったアトレティコ

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 2011年12月から始まったシメオネとアトレティコの冒険は、アトレティ(アトレティコのサポーター)だけでなく、多くの人々の心を打ってきた。団結と気迫に満ちたパフォーマンスでエリートクラブに抗い、一昨季には国内で盤石の体制を築いていた2強を抑え、リーガ王者となった。

 欧州の頂点にも2度迫った裏には血の滲むようなトレーニングがあったはずで、それを可能にしたのはチームに身命を賭してきた指揮官の存在だった。しかし今、その風景は移ろいつつある。

 完敗したビジャレアル戦後、46歳の指揮官は「すべての批判を受け入れよう」と話した。「この状況を乗り切るには、さらに練習に励むしかない」。

 果たして、選手たちは監督の言葉に呼応するのか。そして、指揮官はいま一度、自身を奮い立たせることができるのか。一度狂った歯車を修正するのは容易ではないだろうが、それでも、シメオネ率いるアトレティコが再びあの熱を取り戻してくれることを願う。きっと、そう思っているのは僕だけではないだろう。

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