未踏のルートを拓く男。田中亜土夢がフィンランドで戦い続ける理由 (3ページ目)

  • 高橋アオ●文 text by Takahashi Ao
  • photo by Jussi Eskola courtesy of HJK


「これといったリーグは、特にありません。フィンランドはそこまでレベルが高くないですから、フィンランドよりレベルの高いリーグに行くことを考えています。ただ、欧州の主要リーグのチームからはオファーを受けてないです。代表歴や年齢の部分で主要リーグは難しいですね。

 もともと海外に行きたいと思ったのは、新潟でレギュラーに定着し始めてからです。誰かが行ってるからとかじゃなくて、自分が以前から考えていて、移籍する何年も前から、海外クラブにコンタクトをとったり練習に参加したりしていました。でも実際に決断できたのは、フィンランドからオファーがきたタイミングですね」

 強い信念と行動力によって、新しい海外移籍の道を開拓しようとする田中の言葉は力強い。それでも、「ひっそり海外組」といわれている選手たちのステップアップは厳しい状況だ。ルーマニアで結果を残した瀬戸貴幸はトルコ1部オスマンスポルに移籍したが、失敗に終わった。瀬戸は再びルーマニアで実績を重ね、日本代表への招集も取り沙汰されたが、いまだ実現には至っていない。田中もユース代表を経験しているが、A代表の経験はない。フィンランドでプレーする先に、日本代表は視野に入っているのだろうか。

「ヘルシンキからだと難しいと思います。もっと活躍しないといけないと感じていますね。代表については次のステップアップからだと考えています。

 代表といえば、中学校3年生のときに、たまたまサンフレッチェのスカウトさんが新潟の大会を視察に来て誘われました。最終選考まで残ったんですが、そのセレクションの時には、槙野智章(浦和レッズ)がいましたね。すごくテンションが高い奴だったことを覚えています。その後、U-19やU-20代表でサンフレッチェユースの槙野や柏木陽介(浦和レッズ)とチームメイトになりました」

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