未踏のルートを拓く男。田中亜土夢がフィンランドで戦い続ける理由 (2ページ目)

  • 高橋アオ●文 text by Takahashi Ao
  • photo by Jussi Eskola courtesy of HJK


 一方で悪かったところは、やっぱりケガしたことですね。その試合はすごく体がキレていて、自分でも前半から落ち着いてプレーできていたし、ゴールも決められました。調子よすぎかなと思うほど今までにない感覚で試合していて、(試合を決定づけたアシストの場面で)うまく相手を抜けたかなと思ったら、体勢を崩して滑って(骨が)折れちゃったので......。

 その後からチームの調子が悪くなりました。僕だけじゃなく、他の選手の離脱も影響があったと思います。ケガの経過は、骨のほうは8割方くっついてきました。ただ、少し炎症が起きていて、まだ復帰の予定は立っていません」

 田中の離脱もあってチームの成績は下降し、リーグ最終順位は2位に。しかし、それまでのチームに対する貢献度は高く評価され、負傷中にもかかわらず契約更新のオファーを受け、リーグのベストイレブンにも選出された。

「ケガの状況もあるなかで延長のオファーをいただきました。他のリーグも考えましたが、ケガもあったので、ヘルシンキで復帰してから(ステップアップも含めて)考えることにしました。

 僕はフィンランドをステップにして、今まで日本人が成功したことがないリーグに挑戦したい。成功すれば、その後に続く若手選手たちの道が拓けます。そういった道筋を作るのは僕の役割だと思っています」

 先駆者として、後進のためにプレーする田中の言葉に一切の迷いは感じられない。ステップアップをする上で、具体的にプレーしたいリーグはあるのか。

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