清武弘嗣が悟る。「スペイン語がわからないと大事な試合に出られない」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko photo by Getty Images

「この間代表へ行って、こっちへ戻ってきて、感じたことなんですけど。スペインというかセビージャの選手は、パスを出すときにダイレクトで素速くはたくというプレーをほとんどしないんです。たいていがボールを受けたら、ボールをこねて(キープして)から、相手を1枚はがし、パスを出す。そのこねている間に周りの選手が動き直すんですよ。

 代表やドイツだと、簡単にはたいて、動き直してというプレー。それをセビージャでもやっていたんですが、そうするとうまくパスが通らず、(ボールを)ロストしてしまう。僕自身はそこは意思疎通でうまくいくと思っていたけれど、ボールを失ったら、『ロストしてしまった』と言われてもしょうがない。

 1人をはがすというプレーをしないと、このチームでは生き残ってはいけない。だから、最近は練習でもコネまくっています。今はまだうまくできないけど、ボールを受けたら1人はがして、というプレーが身についたら、自信にもつながると思うから」

 スタイルや戦術の違いを前にしても、考え込むのではなく、ただシンプルにそれを受け入れ、消化する。順応できるようになれば、自然と新しい武器を手に入れられる。そんな柔軟な思考や姿勢が彼の気持ちをも軽やかにしているのだろう。セビージャで学ぶべきものは多い。進化の種がここにはある。

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