豪腕代理人が明かす、ファーガソンの
悪態とポグバ「マンU移籍」の裏側

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ライオラはユベントスに対し、ポグバには高く評価されたファーストチームの選手にふさわしい給料を払ってくれと交渉した。後に彼はポグバに「どうしてユベントスに行きたかったんだ?」と尋ねた。ポグバは答えた。「僕はいつも、いちばん厳しい道を選んできた。ユベントスがその道だった」。ポグバはユベントスですばらしい働きを見せ、4シーズン連続でセリエAのタイトルを獲得した。

 今年の夏、ライオラはポグバとズラタン・イブラヒモビッチをマンチェスター・ユナイテッドに移籍させた。チャンピオンズリーグの出場権も逃し、ここ3シーズンは不振が続くクラブに、なぜ行かせたのか?

「必要とされるクラブに行ったほうがいいと思うからだ」と、ライオラは言う。「あのクラブには彼らが必要だった」

 ユナイテッドが必要とするものを、ライオラはすでに2015年の夏に予見していた。このときユナイテッドは若いフォワードのアントニー・マルシャル、メンフィス・デパイと契約した。だがライオラは、このふたりが成功しないことはわかっていたと語る。

「今このときに、やるべきことができないとダメなんだ」と言って、ライオラはふっくらしたこぶしを、ふっくらした手のひらに打ちつける。「マルシャルとデパイは『この名門ユナイテッドを、われわれが支えていく』とは言えない。だから私は、昨年のうちにユナイテッドの関係者に言っていた。『ズラタンのような選手を呼んで、バランスをとらないといけなくなる』と。そこでズラタンに関心が向けられた。彼は経験もあるし、責任も引き受ける」

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