バイエルンもタジタジ。無敗の29歳、ブンデス最年少監督は何者だ? (2ページ目)

  • 鈴木智貴●文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO


 1部残留という昨季最大のミッションをクリアして迎えた今シーズンは、夏の準備期間を使い、自身が標榜するサッカーの浸透を図った。これまで3-1-4-2、3-4-3、4-3-3、3-5-2といったようにフォーメーションを使い分け、1試合の中でも、「ポゼッションを高める」「自陣に引いてカウンターに出る」など、柔軟に戦い方を変更。チームにはフレキシブルさが植え付けられた。

 U-23ドイツ代表としてリオデジャネイロ五輪に出場した、ホッフェンハイムの守備職人ニクラス・ズューレは言う。

「ユリアン(ナーゲルスマン)はブンデスリーガで最も若い監督となった。それは決して簡単なことではない。脱帽するしかないよ。彼のもとで今季の僕たちは、それぞれ異なるシチュエーションにおいて、ベストなプランを持つようになった。3バック、4バック、5バックと、問題なくシステムを変更することが可能で、戦術のバリエーションもとても豊富なんだ。今の僕たちの戦い方を予測することは、とても難しいと思うよ」

 戦術面だけではない。勝利への渇望も、これまでのホッフェンハイムには見られなかった点だ。

 印象的なのは、第8節レバークーゼン戦の終了間際。レバークーゼンの選手がホッフェンハイム側のペナルティーエリア内で数的優位に立つというビッグチャンスを迎えた時だった。結果的にこのピンチは失点につながらなかったが、この時、最終ラインのケヴィン・フォクト、そしてズューレの2人は、全力でプレスをかけなかった自軍中盤の選手に対し、ジェスチャーを交えながら烈火のごとく怒りだした。その時、ホッフェンハイムは3-0でリードしており、勝利はほぼ確実だったにもかかわらず、だ。

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