イブラヒモビッチを虜にした凄腕代理人の「交渉術」と「予知能力」 (8ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 イタリアのフットボール経済が衰退の道をたどる一方で、パリ・サンジェルマンはカタールの大富豪の手に渡っていた。イブラヒモビッチは渋々パリに行った。彼がフランスの強豪クラブで年俸1400万ユーロ(当時のレートで約15億円)を手にする一方、ACミランは沈没していった。

 15年間にわたってライオラのクライアントであるイブラヒモビッチは、これまでの選手生活で手にした金額で、アンヘル・ディ・マリアに次ぐ歴代2位のフットボール選手だ。この間、各クラブがイブラヒモビッチを獲得するために支払った移籍金の累計は推定1億3100万ユーロ(約150億円)にのぼるから、イブラヒモビッチの仕事だけでもライオラの懐は十分にうるおっている。

 僕がライオラに、選手の年俸から10%をもらっているのかと尋ねると、ライオラは言った。「まあ、そんなところかな。ただ、そこはきちんと合意していることだから」。ライオラに言わせれば、金は満足のいく仕事の「付録」のようなものだという。

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