イブラヒモビッチを虜にした凄腕代理人の「交渉術」と「予知能力」 (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

ライオラ:(しばらく沈黙があって)わかった。でも私と一緒にやりたいなら、私の言うとおりにしてもらいたい。
イブラヒモビッチ:もちろんです。
ライオラ:車と時計を全部売り払え。それから今の3倍、トレーニングをしろ。きみのプレーのデータは、まったくひどい。

 やがてイブラヒモビッチは、ネドベドのようにトレーニングをするようになった。

 このころライオラの天敵ルチアーノ・モッジは、ユベントスに移っていた。ある日モッジはライオラに電話してきて、ネドベドをラツィオから獲得したいと言った。ライオラによれば、ふたりはこんな会話をした。

ライオラ:時計はお持ちですか。
モッジ:何を言っている。当たり前だろう。
ライオラ:何時に会います?
モッジ:12時にフィレンツェで。
ライオラ:私は11時50分までに行きます。あなたが12時10分までに来なかったら帰ります。そうしたら、値段は倍ですよ。

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