EUROを沸かせたウェールズがW杯予選で苦戦。正念場のセルビア戦へ (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 特にウェールズの黄金世代と呼ばれるベイル、アーロン・ラムジー、ジョー・アレンの影響力は絶大で、ひとりでも欠くことになれば、ピッチ上に補いきれない穴が露見する。ここまでのW杯欧州予選では、ラムジーの離脱がことのほか大きい。振り返れば、EURO2016準決勝のポルトガル戦でウェールズがそれまでの勢いを失ったのも、累積警告でこの背番号10が欠場したからだった。

ケガが回復したばかりの、ラムジーのスタメン復帰が待たれるケガが回復したばかりの、ラムジーのスタメン復帰が待たれる その後、ハムストリングを痛めたラムジーは予選の3試合に出場できていない。さらに先のジョージア戦では、その3日前のオーストリア戦で同じく太ももの裏の筋肉を痛めたアレンが欠場。ベストメンバーを揃えられなかったときに戦力が著しく落ちるのは、小国に通じる悩みとも言える。

 今週末の欧州予選4節は、ウェールズにとって正念場となる。グループ首位のセルビアを、ホームのカーディフに迎えるのだ。セルビアはEURO2016予選では、アルバニア戦での乱闘騒ぎによる敗戦処分と勝ち点剥奪もあって無様に敗退した。しかし、今年5月にスラボリュブ・ムスリン監督が就任してからは見違えるように立ち直り、親善試合と予選を通じて6試合で4勝2分と負け知らず。

 サウサンプトンの吉田麻也の同僚であるドゥシャン・タディッチ、ニューカッスルのアレクサンダル・ミトロビッチ、ハンブルクのフィリップ・コスティッチの3トップが軒並み好調を維持。前節はオーストリアのホームに乗り込み、3‐2で勝利を収めている。

 そして、ウェールズ戦では最重要選手のひとり、チェルシーのネマニャ・マティッチが3試合の出場停止から戻ってきて、ベンフィカの仕事人・リュボミル・フェイサとミドルゾーンを構成することになるだろう。対するウェールズも、ラムジーとアレンが招集されており、ハイレベルな中盤のバトルが繰り広げられそうだ。

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