EUROを沸かせたウェールズがW杯予選で苦戦。正念場のセルビア戦へ (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 W杯ロシア大会の欧州予選で、ウェールズと同じグループDに属するオーストリアのマルセル・コラー監督は「(EURO2016で)ウェールズは運に恵まれていた」と大会後に語った。「彼らにはツキが味方し、それが自信につながった。大会前にウェールズが準決勝に駒を進めるなんて、誰も予想していなかったことだ」。

 これにはコールマン監督も応戦し、「我々のベスト4進出という功績が運だけによるものとは思わない」と述べた。そして、「予選で素晴らしいパフォーマンスを見せたチームの多くは高い前評判を受けていたが、そのプレッシャーに対応できなかった(チームもある)」と、グループステージで1勝もできずに敗退したオーストリアを暗に示し、やり返している。

 10月6日にウィーンで行なわれた両者の対戦は、シーソーゲームの末に2‐2の引き分けに終わった。ところが、その3日後、ウェールズはこのグループで最弱のひとつとみられるジョージアをホームに迎え、ベイルのゴールで先制しながらも、後半に追いつかれて勝ち点3を取りこぼしてしまった。

 オーストリアの指揮官から「(EUROでは幸運だったとはいえ)このグループの突破の最有力候補だ」と評されるウェールズだが、3節を終えた現時点で1勝2分の3位。「ウェールズがベイルだけのチームだとは思わない。全選手が攻撃性能を有し、危険な存在になる」とコラー監督は続けたが、選手層の薄さは明らかで、キープレーヤーを欠くとリズムを失いがちだ。

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