初のアジア王者も前途多難。日本を待つ、とんでもない世界のU-19 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 激戦となったU-19欧州選手権を制したのは、決勝でイタリアに4-0と大勝したフランスだった。得点王&MVPのFWジャン=ケビン・オギュスタンは強豪パリSGで試合経験を重ね、将来を嘱望されている。オギュスタンはスピード、パワーに優れるだけでなく、ワンタッチゴーラーとしての才覚を備える。

 U-20W杯の出場権を得たフランス、イタリア、イングランド、ポルトガル、ドイツの選手たちは、必ずしもトップリーグでポジションを獲得しているわけではないが、Bチームや期限付き移籍先で大人を相手にプレー。欧州では2部、3部であれ、ユース年代から大人を相手に実戦を積む。これによって、とりわけ戦術的に鍛え上げられる。

 日本もJ3に3チームのU-23が加わっているが、まだ限定的だ。しかも欧州の3部と比べると単純にレベルが著しく落ちる。

 欧州はユースレベルの引き上げにも積極的で、2013年には「UEFAユースリーグ」が創設された。チャンピオンズリーグのユース版で、各国ビッグクラブの「予備軍」たちがしのぎを削る。

 昨季のユースリーグはチェルシーが優勝。得点王を争ったイングランドU-19代表FWのタミー・アブラハムは今シーズン、期限付き移籍したブリストル・シティ(イングランド2部)で得点王を争う。そのアブラハムとチェルシーでツートップを組んでいたこともある19歳のドミニク・ソランケは、オランダのフィテッセで7得点した後、今シーズンは古巣に戻ってトップ登録されている。

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