長友佑都は復権も、インテル混乱中。
早くもデブール監督の首筋が寒い

  • 井川洋一●文text by Igawa Yoichi
  • photo by AFLO

 長友佑都が所属するインテル・ミラノの周辺が騒がしい。カルチョの世界ではさして珍しいことではないが、8月に就任したばかりの監督に早くも解任の噂が絶えないのだ。

10節終了時でリーグ10位に沈むインテル。デブール監督の苦悩は続く10節終了時でリーグ10位に沈むインテル。デブール監督の苦悩は続く 今オフには中国の蘇寧(そねい)グループがクラブの最大株主となったが、会長は依然としてインドネシア人ビジネスマンのエリック・トヒルが務めている。その会長と折り合いの悪かったロベルト・マンチーニ監督は、セリエA開幕まで2週間を切った時点で解任された。

 バトンを手渡されたフランク・デブール新監督は、選手(98年W杯準々決勝でデニス・ベルカンプがアルゼンチンから決めた、かのハーフボレーにつながる精確なロングフィードの出し手)として、指導者(一昨季までアヤックスでエールディビジ4連覇)として、いずれも輝かしいキャリアを誇るが、イタリアのクラブに在籍したことは一度もなく、言葉もほとんどわからないという話だ。

 それでも、アジアからの潤沢な資金を手にしたクラブは、ジョアン・マリオやエベル・バネガ、アントニオ・カンドレーバなどの即戦力を迎え入れ、オランダ人指揮官に言い訳ができないチームを託した。長い歴史を誇るイタリア・ダービーの演者の片側(もうひとつはユベントス)が、人民元により新たな航海へいざなわれていった。僕らはそういう時代に生きているのだ。

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