新システムで強いセビージャ。清武の扱いでサンパオリの戦略がわかる (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 1トップや3トップの時以上にスペースを使うことのできるサッカーは、スピードを生かしたプレーが得意なFW2人にとっても追い風となっている。実際、2トップにしてからの3試合で、ビエットは3アシスト、ベン・イェデルは3ゴールと爆発している。

 また、CLディナモ・ザグレブ戦、アトレティコ・マドリード戦では、両サイドバックの位置を高めにとり、攻撃時は3-4-3、守備時には5-4-1の変則システムを採用。相手のサイド攻撃を抑えるだけでなく、攻撃時により高い位置から数的優位を生かしたサイド攻撃を仕掛けてゴールを狙う形を披露し、決定力を欠いた"バルセロナの劣化版"というこれまでの印象を拭い去っている。

 チームの中心としてバランスを保ち、高いレベルのサッカーを見せる礎(いしずえ)となっているのは、攻撃に関してはナスリであり、守備に関してはアトレティコ・マドリード戦でゴールを決めたスティーブン・エンゾンジだ。ただ、今のセビージャの戦い方では、2人のプレーエリアは自陣のエリアから相手のペナルティーエリアまでと、あまりにも広大すぎる。

 長いシーズンを戦う上では、パフォーマンスやコンディションの維持、ケガ回避の意味からも、絶対に代わりとなる選手が必要となってくるだろう。その選手たちの試合勘やコンディションを培うためにも、監督は出場時間の分配をしっかりとコントロールしなければいけない。

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