10戦連続スタメンの酒井宏樹が語る
「マルセイユで感じていること」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko photo by Getty Images

 優しい表情を浮かべて話す酒井だが、その声には厳しさもあった。

「ドイツでも感じていたけれど、フランスでより思うのは、生活すべてがサッカーなんです。代表選手はみんなそうだと思うけれど、生活のあらゆることがサッカーに関係している。食事や睡眠の内容、休み時間、食べる時間、そのタイミング。現役中はそういう細かいところも頑張ってやっていきたい。ピッチの上で頑張っているだけでは、あいつら(外国人選手)には追いつかないし、勝てない。

 ヨーロッパの選手ですら、練習後にもサッカーに時間を費やしている。マルセイユの選手はそんなに遊びに行かないんですよ。すごい負けず嫌いだし、どんなことでもひとつの勝負に負けたら、仲間に対してだってメチャクチャ、キレる。ああいう能力のある人たちがあれだけやっている。

 僕らが、たとえば『自分には身体能力がない』と割り切って、やるべきことをやらずにいたら、一生追いつけないですから。やっても追いつけるかどうかはわからないけど、それでも自分の活かし方を理解できるだろうし、そうすることができるから、僕は今ここでプレーできているんだと思うんです。特別な才能なんてないけど」

 そしてもうひとつ、フランスで感じたことがある。

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