「チームにスイッチを入れる男」。急上昇した岡崎慎司の存在価値 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 それでも、順風満帆にスタートを切ったわけではない。開始2分、相手GKスティーブ・マンダンダのミスパスが、日本代表の足もとに入った。思いもよらぬ展開で決定機が舞い込んだが、ループシュートは大きく枠を外れた。両手で頭を抱えて悔しがり、「もう俺、終わったと思いました」。その後も、「『なんで決められなかったんだろ?』って、引きずっていた」と打ち明ける。

 だが、岡崎は効果的な動きでチームを活性化し続けた。特に有効だったのが、攻撃面。ピッチを幅広く動きながら、敵のいない"隙間"に侵入し、味方のパスを引き出した。中盤と最前線をつなぐリンクプレーをこなすことで、パスワークを円滑にしたのだ。

 岡崎不在時と比べると、その差は歴然としていた。不在時はロングボール一辺倒で、厚みも躍動感もない単調なアタックに終始していた。ところが、中盤、前線、サイドと忙しく動き回る岡崎が加わって、攻撃陣の距離感が改善し、気持ちよくパスが回るようになった。日本代表FWは言う。

「(味方の)近くにいることを心がけた。たとえば、リヤド(・マフレズ)の場合、ひとりでいたらマークがついてくるところを、自分が間(あいだ)に入ることで、誰にでもパスが出せるようになるし。そして、僕も前に出るプレーができていた。

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