うずくまるまで走った岡崎慎司。
久々の出番で見せた「自分のよさ」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 75分には、クロスボールをヘディングシュート。バックステップで合わせる難易度の高いシュートは、わずかにゴール右へ逸れた。さらに82分にも、狭い局面で鋭くターンして前を向く。攻守両面で奮闘する岡崎の投入が、悪い流れを断ち切るターニングポイントになったことは間違いない。

 だからこそ、「一気に悪くなりつつあった流れを、(自分の途中出場で)変えられたと思う。いっつも思うんですけど、(あとは)ゴールを獲れればなって」と、ネットを揺らせなかったことに唇を噛んだ。試合結果は0-0のドローで終わっただけに、ここで決めていれば定位置獲りに向けて強烈なアピールになったはずだ。

 だが、まったく光が見えないわけではない。「自分が今の立場にあるのは、監督のやるサッカーがある程度、シンプルな4-4-2に変わったから」と現状を捉えながらも、「戦い方によっては使ってもらえるというか、チャンスがあるとは感じた。4-5-1とか、変化が欲しいときには使われると思う。ちょっとずつ出て、『こっちのほうがうまくいくのでは?』と監督が思ってくれるようにやっていけば、自分にもチャンスがある」と語気を強める。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、岡崎はしばらくうずくまって動けなかった。無得点に終わったことを悔やんでいるのかと最初は思ったが、「止まることがなかったので、めっちゃしんどかったんです。とにかく走ろうと思った。やはり自分の存在意義を出したいし、それならボールを触るとかではなく、『いけるとこまでガンガン行こう』って」。

 得点は奪えなかった。しかし、存在意義は示せた。久しぶりの出番で、日本代表FWはフルスロットルで必死にアピールした。

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