スペインの怪。ビジャレアル監督はなぜ「八百長」でクビになったのか (5ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 例えば今夏、スペイン代表監督に就任したフレン・ロペテギは「レアル・マドリード、バルサ、その他の地域」という大別して三つの派閥があるスペインを束ねるのが仕事になる。その最大の利点として期待されるのが、ロペテギ自身のキャリアにあるだろう。Uー19,Uー21のスペイン代表を欧州王者に導いたことももちろんだが、彼はバスク人でありながら、レアル・マドリード下部組織で育ってトップデビューし、ラス・パルマス、ログロニェス、ラージョ・バジェカーノなどでプレーした。そしてクライフ監督がいた当時のバルサにも所属。多くの地域の事情を分かっているのは心強い。

 マドリード、バルサだけでなく、多くの地域でプレーすることで培った「平衡感覚」は、代表監督としてのアドバンテージになるだろう。ただ、地域色は好むと好まざるにかかわらず出てくる。ロペテギの抜擢によって台頭著しいサイドアタッカー、ビトーロはラス・パルマス出身。地域を知っていれば、その適性を信じられるのだ。

八百長の嫌疑をかけられたマルセリーノは、胸の内を語っている。

「一つだけ間違いがあったとすれば、試合前の記者会見で郷里への心情を洩らしてしまったことだろう。決して見せるべきではなかった。それについては後悔している」

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