岡崎慎司も不発。レスターを研究し尽くしたリバプールの戦略勝ち (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 こうしたリバプールの攻めに、レスターは手も足も出なかった。センターバックからサイドバックへパスが供給されるため、岡崎やFWジェイミー・バーディーがプレスをかけても捕まえ切れない。しかも、サイドを攻撃の起点にされることから、レスターの最終ラインは横方向に間延びしてしまった。プレス網に引っかからず、最終ラインもスペースを空けてしまうとなれば、レスターの守備は、ほぼ無力化されたといっても過言ではないだろう。

「読まれているな、という感じはしますね。対策されている」と岡崎も語る。レスターのサッカーをくまなく研究してきたのは明らかで、クロップの狙いどおりの勝利であった。

 もっとも、拡張工事を終えた「新アンフィールド」がこの試合でお披露目となり、下手なプレーはできまいと、リバプールのモチベーションがいつになく高かったことも大きい。レスターとの力の差は明らかで、クラウディオ・ラニエリ監督は「リバプールの出来がよかった。勝利にふさわしい」と、素直に完敗を認めた。

 昨年10月に誕生したクロップ政権は在任2季目を迎え、指揮官の思い描くサッカーへと近づいてきた。もちろん、つまらないミスが散見される最終ラインとGK、格下相手に取りこぼす勝負弱さなど、克服すべき課題は少なくない。しかし、走力をベースにしたゲーゲンプレスが浸透し、攻撃陣も流動性の高いアタックが形になってきた。

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