リーガ序盤で失速も「心折れない」
アトレティコと「沈没」バレンシア

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ディエゴ・シメオネのチームの特徴は、その組織的な労を惜しまない堅固な守備にある。もちろん、攻撃もリーガの他チームからすれば羨むだけのメンバーを揃えている。だが、圧倒的な破壊力を持つリーガ2強と比べると、物足りなさを感じるのは否めない。

 しかも最近のアトレティコは、これまで大きな武器であったセットプレーからの得点を失っている。アトレティコは2013~14シーズンに23得点、2014~15シーズンに32得点をセットプレーから決めていた。だが、昨シーズンはわずかに11得点。今季の開幕戦のアラベス戦では20本のCKを得ながらも無得点だった。

 コケ、ガビらキッカーのメンツは変わっていないが、ミランダ、ラウール・ガルシアといった空中戦に強さを誇ったフィニッシャーがチームを去っている。空中戦に強いディエゴ・コスタの復帰をシメオネが熱望したのも頷ける。

 もちろん、サポーターもこの結果に満足していない。「もうリーガは終わった」とこぼす者さえいるほどだ。

 だが、アトレティコのチームとしての最低限の目標は3位を確保することであり、義務はリーガの優勝争いの火を灯し続けることだ。これから十分に巻き返しを図ることは可能であるし、前述のグリーズマンのコメントも、気持ちの強さから生まれたもの。決して闘将シメオネのチームの士気は衰えてはいない。

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