「ディーゼル車のような本田圭佑」が控えでもミランに残留した理由 (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 こうした自分の置かれた状況を、本田は重々承知している。しかし、それでも彼はミランに残る道を選んだ。ミランでの最後のシーズンを、ほぼベンチで過ごすことになる可能性が高いにもかかわらず......。

 なぜか? もちろん冒頭にあげたような我慢ゲームを本当にしているわけではないだろう。ありていに言ってしまうと、この6月で30歳となった本田は、複数年の契約を保証してくれるチームを見つけることができなかったのだ。

 本田はプロのお手本のような選手で、チームにとって、いざという時には心強い存在ではある。それでもこの夏、本田が出ていきたいというのなら自由にさせる、というのがミランのスタンスだった。しかし一方で、本田をこのまま持ち続けていてもかまわないとも思っていた。変なトラブルは起こさないし、ベンチでおあずけを食わせても、おとなしく出番を待っていてくれる。

 獲得するのに一銭も払っていないから、今後契約が切れてタダで手放したとしても損はしないし、支払う年俸が天文学的数字というわけでもない。つまりミランも本気で本田の移籍先を探そうとはしなかったのだ。

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