「さようならバスティ」ドイツの大黒柱が代表引退で次期主将は誰か?

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki photo by Getty Images

 だがこの試合は、ワールドカップ予選に向けた単なる壮行試合ではなく、ドイツサッカー界にとって極めて重要な意味を持つ一戦。なぜなら、遡ること12年前、初めてA代表のユニフォームに袖を通し、ここ2年間は主将を務めていたバスティアン・シュヴァインシュタイガーが、この試合を最後にドイツ代表から引退することが決まっていたからだ。

 そのため、スタジアムを包み込む雰囲気は、普段のそれとはまったく異なっていた。選手入場に付き添う子どもたちのTシャツ、サポーターが掲げるプレート、横断幕には「SERVUS BASTI(さようなら、バスティ)」の文字が並び、両国の選手らが整列し終わると、上述のように、キックオフを前にシュヴァインシュタイガーの代表引退セレモニーが行なわれたのだった。

 誰もが感傷的な気分になってしまう一幕を終え、開始の時を迎えたドイツ代表は、ヨアヒム・レーヴ監督が事前に公言していたように、主力を休ませ、若手主体のメンバーでこの試合に臨んでいる。

 まずGKは、絶対的守護神マヌエル・ノイアーではなく、バルセロナに所属するマルク・アンドレ・テアシュテーゲン。そして左のCBには、レーヴ政権下83番目の代表デビューであるニクラス・ジューレが入り、彼とともにリオデジャネイロ・オリンピックで銀メダルを獲得したマックス・マイヤーやユリアン・ブラントなど、いずれも20歳の新鋭が先発に名を連ねた。最後となるキャプテンマークを巻いたシュヴァインシュタイガー以外は、全員が26歳以下。平均年齢はなんと23.72という若さである。

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