バルサ戦もフル出場。清武弘嗣をセビージャ市民はどう迎えたか (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSIFOTOGRAFIA

「これだけの情熱あるシーンを作り出すことはお前の国にはできないだろ」

 その言葉を裏付けるかのように、試合当日のMARCA紙には、清武がクラブアンセムを歌うことを願っており、一生懸命スペイン語を勉強しているという記事が掲載された。ちなみに100周年記念アンセムはセビージャサポーターだけでなく、スペイン国内で高く評価されている。他クラブサポーターでも「あのアンセムを聞くだけで気持ちが盛り上がってくる」と言うほどなのだ。

 試合開始を告げる審判の笛が鳴り響いた後も、もちろん満員のサンチェス・ピスファンは自チームの勝利を信じて熱い声援を送り続けていく。よく言えば情熱的だが、悪く言えば品行方正からかけ離れた粗野なアンダルシアの人々が、きれいな応援をするわけがない。

 前述したレジェスや、セビージャでプレーしていたデニス・スアレス、イバン・ラキティッチ(ともに現在はバルセロナ)など、セビージャの力になった選手たちには盲目的な愛情を捧げるが、セビージャに反する相手には容赦がない。

 この試合では、彼らはリオネル・メッシに対して「早く金払え、脱税野郎」とヤジを飛ばしていた。だが、そのヤジが逆にエネルギーになったのか、セビージャは代表復帰を宣言したメッシにチャンスを作り出され、試合を決定づける2点目のアシストを許してしまった。

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